長崎地方裁判所 昭和50年(ワ)300号 判決 1977年6月28日
主文
原告が破産者昭和重工株式会社に対し長崎地方裁判所昭和二九年(フ)第四号破産事件につき約束手形金元本債権八二〇万円及び小切手金元本債権一五三万円並びに右両債権に対する利息金債権一五万八八七五円の各破産債権を有することを確定する。
原告のその余の請求を棄却する。
訴訟費用は被告らの負担とする。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 原告が破産者昭和重工株式会社に対し約束手形金元本債権九〇〇万円及び小切手金元本債権金二七三万円並びに右両債権に対する利息金債権二五九万五〇〇〇円の破産債権を有することを確定する。
2 訴訟費用は被告らの負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 長崎地方裁判所は、破産者昭和重工株式会社に対する同裁判所昭和二九年(フ)第四号破産事件について昭和四六年九月一三日破産宣告をなし、被告伊吹幸隆がその破産管財人に選任された。
2 訴外趙畢順は、破産債権者として昭和四六年一〇月五日別表一の1及び同二の1記載の約束手形金元本九〇〇万円、別表一の2及び同二の2記載の小切手金元本二七三万円並びに右元本に対する利息金二五九万五〇〇〇円の債権届出をしたが、昭和四七年四月二七日の債権調査期日に被告らが右届出債権に対し異議を述べた。
3 原告は昭和五〇年九月八日右訴外人から右届出破産債権を譲受けた(同月二二日訴外趙畢順から被告伊吹に譲渡通知)ので、右届出債権が破産債権であることの確定を求める。
二 請求原因に対する認否
請求原因第一項の事実は認める。
同第二項中、本件約束手形及び小切手が振出名義人によつて真正に振出されたことは否認し、その余の事実は認める。
同第三項は争う(被告伊吹は、譲渡通知の点は認める。)
三 仮定抗弁
原告の本訴提起の日である昭和五〇年九月八日には、既に本件各約束手形は満期から三年、各小切手は呈示期間経過後六か月をそれぞれ経過しているから、破産者昭和重工株式会社の責任は時効によつて消滅しており、被告らは本訴において右時効を援用する。
四 抗弁に対する認否及び再抗弁
争う。破産債権の消滅時効は、債権届出によつて中断し、その効力は破産終結決定まで継続するものであるから、被告の主張は理由がない。
五 再抗弁に対する認否
趙畢順の債権届出による請求は異議の申出により確定することなく不確定の状態に留め置かれたのであつて、同人の当該請求は民法一五二条の規定する「却下セラレタルトキ」に当るのであるから、時効中断の効力は生じない。
第三 証拠(省略)
(別紙)
別表一の1(約束手形一覧表)
<省略>
いずれも支払地及び振出地は東京都中央区、支払場所は株式会社東海銀行東京支店、振出人は昭和重工株式会社代表取締役篠田英悟、受取人は大栄興業株式会社である。
別表一の2(小切手一覧表)
<省略>
いずれも、支払地及び振出地は東京都中央区、振出人は昭和重工株式会社代表取締役篠田英悟、支払人は株式会社東海銀行東京支店である。
別表二の1
<省略>
支払地、振出地、支払場所、振出人及び受取人は別表一の(一)の手形に同じ。
別表二の2
<省略>
支払地、振出地、振出人及び支払人は別表一の(二)の小切手に同じ。